年頭にあたり、米などその年の作物の作況や作付け時期を占う行事で、地域の乙名(オトナ)という長老が中心となって執り行われています。

行事の朝、各家を回って集めた米を本殿前に据えた直径1メートルもある大きな釜で炊いていきます。
炊き上がる直前のあるタイミングで、「早稲」、「中稲」、「晩稲」を表す印を施した3本の竹筒を釜の奥深く刺し込みます。これは乙名の一人が、素手で素早く行うのです。このタイミングの見極めには、五感と長年にわたって培われた経験が求められます。音、香り、蓋から伝わる温度など、釜から得られる情報を敏感に感じ取って判断します。
飯が炊き上がると竹筒を釜から取り出し、まず北側にあるお堂の毘沙門天にはお供えされます。
次にたすき掛けをした厄年の男たちにより、桶に盛られた炊きたてのご飯を取り合うような所作をする行事が行われます。この時刻になると、地域の方がたくさん集まり、この余興的な行事もたいへん盛り上がります。
その後、乙名によって握られ飯は、集まった人たちに配られます。おこげ入りの温かいおにぎりのその美味しさに皆さん顔をほころばせます。
そしていよいよ占いの結果が出る時がきました。竹筒を順に割り、米の詰まり具合によりそれぞれの作況が判定がされていき、集まった人たちに披露されます。最後に、竹筒と釜の飯は、茶碗を持って集まった地域の人たちに配られます。持ち帰った飯は、神様からのおさがりとして、翌15日の小正月の小豆粥に入れられ家族で食されているということです。

この行事には、竹筒を米に刺し込む瞬間を見極めるという「わざ」がありました。ここに、民俗文化の伝承の真髄を垣間見たような気がします。